その川の名は「ユーコン川」
カヌーは一切漕がず川に逆らわず流れて本を読む毎日。
川岸にはユーコンの雄大な動物達。
平和だ・・・。脳が癒されていく。
でも楽しい事ばかりではなかった。まず悩まされたのは「蚊」だった。
風が流れる川の上は平和そのものだったが、
一旦岸に上がると蚊達は一斉に襲い掛かってきた。
献血より血がなくなった気がするぐらいだった。
トイレは川の中でする。
魚にお尻をつつかれながら便をたしてる日本人なんて世界で俺ぐらいだと思った。
シャワーなんてものはないから川の中で石鹸をこすって体を洗ったりして
本気で野生児だった。
自分は手付かずの自然をなめていた。
というのもライフルも持たず、持っているのはナイフとベアスプレーだけ。
まさか自分がクマ(グリズリー)に遭遇するなんて思ってもいなかったから・・。
いつの日も出会いは突然。
夜中(と言っても太陽は照っていたが・・)にテントを張り本を読んでいたら・・。
「ガサ、ガサ、ガサ」と動物が森にいる音。
天然記念物のムースだ!!と思いテントを出るとクマが10mぐらい離れた木に吊るしてある食料を食べている!!かなりでかいクマだった(2メートルはあった気がする)
ヤバイ。
すぐにテントの中に入り身をすくめる俺。
でもクマは鼻が利く。すぐに自分のテントの周辺をぐるぐる回りだした。
死ぬ。
とっさに頭に浮かんだ。そして俺のとった行動とは・・。
遺書を書く。親に。状況をこと細かく書き、書き終えると覚悟してじっとしていた。
そしてクマのとった行動とは・・。
バーン、ゴロゴロ、バーン。何やらカヌーを壊している。
さっきも書いたが富士の樹海みたいなところに川があるだけ・・。
カヌーがないと餓死だ。
餓死はイヤだった。苦しそうだから。腹が減って死んでいくのはイヤだった。
そしてテントのチャックをゆっくり上げ、一気に飛び出し、ベアスプレー噴射!!!
運よくクマの顔面にいった。クマ痛そうにしている。
今しかない!!
クマをかいくぐり、カヌーを押して、川に飛び出した。
初めてカヌーを漕いだ。何系かというと夢中系で。必死だった。泣きながら漕いだ。
下流で必死に自分を落ち着かせ、時間を潰した。
また夢中系でカヌーを漕ぎ川を逆流して戻った。クマがいないのを確認してテントなどの自分の荷物と食べ残しの食料をカヌーに積んで再びユーコン川にでた。
どうしよう・・。食料が無い。
押し寄せる恐怖心。周りには何もない、誰もいない。
ライフルも持ってこないなんて自分のバカさ加減に腹が立つが、そんなことを今思ってもしょがない。
この状況をどうにかしなきゃ。何の策もないけど・・。
続きはまた次回
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